雹が降る季節です.
雹が降る季節です.一般に生活していると雹が降ると言っても一寸困るぐらいです.ですが、農業となると霜が降りる事と会わせて重大な災難となります.
じつは、農作物の作付けには霜の降る時期が大きく関係します.多くの露地栽培では霜が降らなくなる時期に合わせて、農作業を進めるからです.ですから、霜はある程度遅く降りる事があるぐらいでコントロール可能ですが、しかし、雹は全く違います.危険性のある期間が長く、また、場合によってはゴルフボール大の大きさの雹が地表10㌢以上積もる場合が有るのです.このような雹が幅数キロ、長さ数十キロにわたって局地的に農産物を襲います.もちろん、その地域の露地栽培の野菜や果樹はもちろん、ハウスや簡単な倉庫の屋根などは穴だらけになって作物は全滅です.その為に、作物ごとにその地域では保険に入る事も有ります.北海道などは年一作ですから、死活問題です.
去年に北海道でお付き合いしている小清水町のKさんの直播栽培(苗を育てて圃場に定植するのではなく、種から圃場に撒いて育てる方法。一般的にはリスクが大きく特に北海道では向かないとされる。)の玉葱の圃場が雹にやられました.2ヶ月間かけて順調に15㌢ぐらいに育っていましたが、雹の為にほとんどが地面から数㌢の所で折れてしまい、普通の栽培では漉き込む(つまり、捨てる)しかないとの事でした.ちょうど、その時期に北海道に滞在していた私は飛んで行きました.その数年前にも、もっと大きく成長途中の雹にやられた玉葱を販売可能な玉葱に育てた事が有るからです.Kさんにはどうせ漉き込むならやってみませんかと、肥料の管理方法、生育に必要なポイントを伝えました所、カンの良いKさんは理解が早く、その通り管理してくれました.農協職員や周りの農家さんはずいぶんKさんに無駄な事はやめろと言ったそうです.結果、玉葱は順調に育ち、オホーツクの海沿いの小清水町では考えられない様な良い大きな玉葱に育ちました.この年、北海道では不作で玉葱の大玉が少ない時でした.これ以降、Kさんは我々の肥料の良いお客さんになっていただきました.農薬の使用量も少なくなったとの事です.KさんはJGAP認証を取っておられます.
雹で受けた農作物の傷、菌や虫の食害で起こった病気はある程度肥料のコントロールと、我々が勧めるA-1という毛根促進剤(土壌改良材)で治す事が可能です.しかし、それにも限度が有ります.農業とは大きなリスクの上に成り立っている産業だと、毎年思っています.