LPK液肥について
長らく、LPK-Mgと言う配合肥料のみで植物の生育コントロールを可能にする農業技術を追求してきましたが運用に当たっていくつか不便な点がありました。粉状であるLPK-Mgの性質上土壌に散布しますが、散布後に肥料成分を植物の根から吸収させる為、水が必要なのです.我々の肥料の特徴であるリン酸の肥効を確かにする為には、根の先端でしかリン酸が吸収されない為に散布したリン酸を根先に届ける為、より、大量の水が必要とされるのです.この理由により、施設栽培(ハウス栽培など)では灌水設備が必要ですし、露地の圃場ではスプリンクラーの設備か、雨が降る前を狙って散布する必要が有ります.また、せっかく散布した露地の圃場で雨が予報より少ない、又は、降らなかった場合、リン酸が根先まで届かず肥料の肥効はのぞめません.ピンポイントで生育をコントロールする時期にこれでは大切な時期を失してしまいます。これらを補う技術として、LPK-Mgを水に溶かして液状にして散布する方法を考えだしました.水のタンクにLPK-Mgを入れ、数時間放置して固形物を沈殿させます.その上澄み液に溶け出した肥料成分のみで倍率を整え灌水散布する方法です.これで、多くの方が散布が楽になったのですが、ハウスの灌水チューブが解けていない細かい肥料成分で詰まると言う農家さんからの苦情と、あまりにも広大な面積の為に北海道の農家さんはそんな手間のかかる事は出来ないとの事だったのです.そして、特に北海道の農家さんからLPK液肥の希望が有りました.我々も10年以上にわたり、LPK液肥を作りたいと考えていましたが、技術的に超えなければならないハードルがいくつも有り、完成していなかったのです.
約5年前に試作品が完成したLPK液肥を携え、北海道に行った時は胸が高鳴った事を覚えています.結果は十分な肥効が確認できました.最初、LPK液肥も土壌からの散布と葉面からの散布と二通り考えていましたが、葉面散布のみでも十分な肥効が確認できた事はうれしい誤算でした.また、散布倍率をあれこれ模索するうちに、LPK液肥の葉面散布は対費用効果も安く済む事が判明しました.手軽に散布でき、費用も安い。ちょうど北海道の農家さんが希望されていた肥料が出来上がった訳です.北海道北見市端野町の田中さんが現代農業に投稿された記事がこのホームページに張ってあります.この文中に田中さんの肥料への期待と喜びを感じるのは私だけでしょうか.
現在北海道では、LPK-Mgも効率よく使われる熟練者が出てきました.北海道北見市端野町で雨の日にトラクターで圃場に入っている方々がそうです.我々の肥料を使われる方は、雨の日を待って農作業をされるのです.周りの人から何をやってるんだと訝しく思われながら。