田植えをやっています。
長年、お付き合いをしてイチジクを出荷していただいている大和郡山のIさんの田んぼの手伝いを始めて何年になるでしょう.もう、80歳をいくつか超えておられますが、ご夫婦とも健康です.しかし、いくら健康と言っても機械を使い、集約的に短い期間に行う田植えや稲刈りは大変な作業です.5反の田んぼの田植えを今年も手伝っています.
皆さんは、田植え作業とはどのような作業かご存知ですか.田植えに至るまではいくつかの大きな作業が有りますが、それらをすべて説明するには大変ですので、今回は省きます.で、私は田植機に乗ってまっすぐ前を見て機械を運転しています.今は機械化が進んでいて、私の乗っている田植機は4条植、すなわち一度に4条づつ植えて行きます.まっすぐ植える、これが信条です.稲刈りも機械ですから、曲がって植えると稲刈り作業が効率が悪くなります.そう、農作業は効率を求める作業なのです.遠くの一点を見据え、機械が傾こうが、仕事の電話が鳴ろうが、一心不乱に目指した目標に向かって進んでゆきます.それでも、一往復して植えた後を見ると決してまっすぐとは言えません.あっちにふらふら、こっちにふらふらしています.たしかに、機械で植える事は手間ひまの省力化が進み、日本の農業を大きく変えました.毎年感じますが、よくもこんな機械を日本人は作ったものだと感心します.しかし、この機械化が長い年月を経て、遠い現在の農業の衰退を招いた遠因のひとつだと思われます.これはさておき。
自分で田植えをするまで疑問に思っていた事が有りました.正方形の田んぼならまだしも、変形している田んぼはどうしているの。植始めや、機械がターンする場所はどうやって植えるの.皆さんは、不思議に思った事は有りませんか.答えは、すべて人の手で植える、です。ですから、私が田植機に乗ってまっすぐまっすぐ動かしている最中にIさんは、昔ながらの腰紐に稲の苗をくくり付け、せっせと昔の田植えを実施しておられます.今も昔も、農作業は大変なのです.田植えを手伝うようになってから一番難しかった事は、どうやって機械を最後に田んぼから出すかです.ほとんど入った所、一カ所からしか出入りできません。これが理解できるまで一寸かかりました.今年は、私が自分で判断して出られるようになりました.これも、効率を考えなければならないのです.
今日で、最後の田植えが終了します.最後の最後に、田植機を丹念に洗ってやります.年に数日しか使う事の無い機械です.来年までよろしくと気持ちを込めて洗ってやろうと思います.